一定期間更新がないため広告を表示しています
|
一定期間更新がないため広告を表示しています
6:00。起床。体温36.7℃。血圧99−57。平常です。
7:00。昨夜に続き2度目の浣腸。念には念を入れ、というか、念を出し、ですかね。
これは、すぐに出さないのがコツで液が回るまで少し我慢しなければならないそうで、そういえばむかしビックリハウスかなにかで読んだのですが、浣腸をされたあとも悠々とコタツでお茶を飲みその後平然と臨んでいったというばあさんの話を思い出します。
ばあさんリスペクトで処置室からトイレまで優雅に歩いたつもりですが、たぶん死にそうなアヒルみたいな格好だったことでしょう。
術後はしばらくシャワー禁止なのでこのタイミングで体をきれいにしておき、病院が用意してくれた手術服というものに着替えます。
どっかで見たことのあるような、前合わせ横紐留めの薄い布地のワンピースのようなもの。どっかがどこかは追求しなくてよろしい。
そしてこれまた病院で用意してもらった白い靴下を履きます。これがとてもキツくてそして太ももの上まであります。メディキュットのすごい盤みたいのです。
これは何かと言うと、手術中や術後かなり長い時間を同じ体勢で過ごすので脚に血栓が出来ないように予防する目的だそうです。エコノミー症候群と似たようなものですね。
看護師さんも夜勤のときに履いているとおっしゃっていました。
14:00。手術室に向かいます。全然元気で歩いていけるのに、なぜか車椅子に乗せられて移動。血圧が上がったりしないようにかな。付き添いのキアロも手術室前までお見送りについてきます。
大きな扉の前でベッドに移されました。ここから先は看護師さんも交代です。病室看護師と手術看護師とは領域が違うそう。キアロともここでお別れ。達者でなー。
ベッドごと移動。一枚扉を抜けて、もう一枚扉を抜けて、見えているのは天井なのですが、あのドラマとかで見たことのあるライトが視界に入ってきました。おぉいよいよか。
部屋にはBGMがかかっていました。矢野顕子の『ひとつだけ』がインストルメンタルで。大好きな曲です。幸先がいい。
3人の看護師さんが非常にてきぱきと働いて、今度はベッドから手術台に移されました。
「はいー片腕抜きましょうか」と、手術着の片腕を脱がすと同時に無防備になる胸とお腹の前面は大きなタオルで覆ってくれます。
「はいーもう反対側もー」と、全裸にさせられました。てーもー浣腸と続きついには全裸ですよ。病院ではもう体丸ごとです。
そして海老のように丸くなって脊髄に注射をうたれます。これは昨日のうちに麻酔科の先生から練習させられていたポーズで、麻酔を打つための予備注射。痛くならないための麻酔注射が痛くないための注射。です。なんて親切な。
このあたりで意識がなくなりました。
次に目が覚めたときには手術が終わっていました。
たぶん、あれは名前を呼ばれたのだと思いますが、いきなり目が覚めました。上にあのライトが見えます。まだ手術室の中です。
16:30。またいくつもの扉を抜けて病室に戻ってきました。
このときはまだ朦朧として自分では分かっていないのですが、私は沢山の管につながれていました。
・呼吸マスク
・左腕に点滴
・心電図
・背中(脊髄)に麻酔の風船
・尿道
・術後に血がたまるのでお腹から直接管を挿し血ヌキ。これは「ドレン」と呼ばれていました。
私が術後の処置を受けている間に、キアロが執刀医から説明を受けていたようです。
手術は無事に終わったけれど、癒着が激しく出血が1900ccと多かったこと。しかし輸血はしないで済んだこと。そして摘出されたものも見せてもらったそうです。
曰く、「すっごいでけーの。きれいなピンクのホヤみたいだったよー」
ホヤ好きの私のお腹からホヤ様のモノが。
先ほど書いた麻酔の風船というのがまだ背中に刺さりっぱなしなのは、ここに麻酔薬が入っていて、そして細い管、えーっと、インスタントラーメンの麺くらいの細さでしたか、それが背中に入っていて、あんまり細いから仰向けに寝ていてもゴロゴロしたりしないのですが、とにかくそこから気化した麻酔薬が絶えず身体に入ってきている仕組みになっているのです。痛み止めというよりは麻酔をずっとしている状態ですね。
そして、その風船には注射のピストンのようなものがついていて、痛さが激しいときは自分でそのピストンを押して薬の効果を増量していい式になっています。ただし一度押したら30分は押しちゃ駄目。
このピストンを押すとね、背中に天使が通ったようにすーーーーいと涼しい風が通る感覚があるんです。そして痛みがほとんど無くなる。実によろしい。
この晩はほとんど寝られなかったので一時間に一度くらいのペースで増量サービスしまくりました。
術後は看護師が頻回に様子を伺います。と事前に説明されていた通り、その晩は何度も何度も看護師さんが様子を見に来てくれて、血圧を測ったり、鉄剤の注射を打ってくれたり、口をゆすいでくれたり、寝返りを手伝ってくれたり、手術服から自前の寝巻きに着替えさせてくれたり、とにかく夜通し手厚い看護を受けました。
あとから聞いた話で、これも自分ではよく覚えていないのですが、その晩の消灯時間後、私は看護師さんに「枕灯をつけて本を読んでもいいですか」と聞いて怒られたそうです。
我ながらなかなかやるのう。