午前中、この連休の最大のイベントであるところの病院通いへ。
まーだ治んないんですよ、風邪が。ヒロイックな気分になれるので薬を飲むのが好きな私ではありますが、もういい加減あきれてきたよ。いつになったら治るんでしょうね。
風邪の薬
花粉症の薬
痺れ止めの薬(事故の後遺症)
年寄りのように沢山の薬を毎食後ごくごくと飲みほす。
あ、年寄りで思い出した。
その病院の帰りにスーパーマーケットに寄ったら、おじいさんが万引きをしているのを目撃してしまった。
ケンケンみたいな顔をしたおじいさん、というのは人目を引くほど派手な受け口で、上唇に下の歯がかぶさっている。
ほんとうにケンケンを思い出させるというか、あんたがケンケンのモデルでしょと聞きたくなるような風貌をしたおじいさんが目の前を通ったので、嬉しくなって目で追ったのだった。
彼はスタスタと酒売り場の通路を歩き、
歩をゆるめずに棚に並んだ日本酒のワンカップを一本手に取り、
通路の角を曲がりながらそれをジャージのポケットに仕舞ったのだった。
全てが流れるような一連の動きの中で行われていた。そして、角を曲がる時に、驚いて見送る私の方をチラッと見たのだった。
あ、万引きだ。
どうしようどうしよう、と思っているうちにおじいさんは野菜売り場の方へ進んでいって、とうとう店の外へ出てしまった。そしてその時又こちらをチラッと見た。
おじいさんは私が気が付いていた事を知っていたのだろう。
ワンカップをひとつ盗んでいって、家のコタツに座ってプラスティックの蓋を開け、金属の蓋を開け、口でむかえるようなしぐさでぐびりと飲むのだろうか。そして万引きの現場を人に見られた事を忌々しく思うのだろうか。
私はなんだか悲しいような気持ちになってしょんぼりと帰って来たのだった。