昨日のこと、駅に貼られた一枚のポスターに目が吸い寄せられた。
それは余白をたっぷりと取った空間に、ひとりの女性が扇を広げて日舞の決めのポーズをとっているもので、こんな文字が印刷されていた。
<b>I am a Dancer.</b>
<b>I have Down Syndrome.</b>
私はダンサーです。私はダウン症です。と謳っている<a href="http://jdsn.ac.affrc.go.jp/information2006/B1_dancer-jpg-s.jpg">このポスター</a>はほかに殆ど文字が無くて、なにかの宣伝なのか何なのか、そこからは知ることが出来なかったが、ダウン症の方の写真を広告媒体でみかけたのは初めてだったので正直少し驚いた。
家に帰って調べてみたら、これは<a href="http://jdsn.ac.affrc.go.jp/dowj1.html">JDSN(日本ダウン症ネットワーク)</a>が3月21日を世界ダウン症の日と定めたことを広告するポスターだったようだ。
城、というのは私と不二子ちゃんがつけたアダナで、これはシロじゃなくてジョウと読むのだけれど、彼女は私の知り合いの中で一番の美人さんだ。
美人だけじゃなくて一番うれしいのはものすごいノンベイで、よく3人で深酒したものだった。
そんな城が、美人なのになぜかいつまでたっても結婚しないと不思議に思っていた城が、やっと結婚することになり、最後に3人で飲んだのはいつのことだったか。それから程なくして子供が出来たというメールを貰った。城の手放しな喜び様が文面にも眩しく見えた。
数ヵ月後、城の子供はダウン症という病気を持って生まれてきた。
それ以降、彼女からの連絡は全くなくなってしまったし、こちらからもしなくなってしまった。
病気がある子供だから喜べないわけはないよねとか思うのは、やっぱりひとごとだからなんだろうか、とか、ぐるぐる頭で考えても、何を彼女に言ったら良いのかどうしてもわからなくて、それに、おそるおそる接する気持ちを抱えたままコンタクトを取るのはいやだ。
そんな風に思ったり思わなかったりしながら過ごしてきた私の目の前にあのポスター。
城、今もまだ毎日泣いているのですか。私はまだあなたにかける言葉が見つかりません。励ましや応援の言葉なんてまだまだで先のことです。今はやっとの思いであなたの名前を呼ぶだけです。
城!